2024 年 41 巻 4 号 p. 4_49-4_66
UMLのステートマシン図教育では,学習者に正しい理解を促すために教育者が学習者の課題答案の誤りとその修正方法を解説することがあるが,多数の答案を早期に確認し終えることは教育者に大きな負担となる.そこで本研究は,教育者が課題答案となるUMLステートマシン図の誤りを効率的かつ正しく特定できるように,静的解析と動的解析によるUMLステートマシン図答案の誤り特定自動化手法を提案する.有効性評価では,実授業において情報系学生19人が5種類の課題を解くことで得られた計95個の答案を対象とし,授業の担当教員が当時に答案を手動分析して得た誤りと答案へ提案手法を適用した結果とを比較した.さらに,その比較詳細を当該教員が定性的に評価した.その結果,提案手法は,各誤答で必ず1つは誤りを適切に特定でき,また,正答すべてに“誤りが無い”と正しく判定できた.また,定性的な評価では,表現の冗長性や的確さに課題が残るものの,誤りを正確に整理できそうな面が見られた旨の前向きな意見があり,提案手法が答案評価の効率化に有効な見込みを得た.