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Print ISSN : 0289-6540
並列化とその限界 : 理論的側面から
宮野 悟
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1990 年 7 巻 1 号 p. 1_2-1_15

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抄録

効率よく並列化できる問題とは,並列ランダムアクセス機械(Parallel RAM)により,多項式個のプロセッサを用いて時間O ((log n)^k) (k>_-0は定数)で計算できる問題と理解されている.そのような問題のクラスは,それを同定したNick Pippengerにちなみ,Nick's Classの略としてNCと記述されている.一方,逐次アルゴリズムにより多項式時間で解ける問題のクラスPは,NCを含んでおり,多くの効率のよい並列アルゴリズムが知られている.しかし,Pのなかには,本質的に逐次的で,並列化が困難な問題も発見されている.そしてこのような問題の大部分がP完全であることが証明されている.ここでは,クラスNCとP完全な問題について解説する.

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© 1990, 日本ソフトウェア科学会
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