1991 年 8 巻 4 号 p. 4_349-4_359
計画や設計などの合成型の問題においては,等式や不等式を用いた関係式として表現される制約のほかに,デフォルトや好みとして特徴付けられる制約(デフォルト制約)も必要とされる.デフォルト制約は,問題解決のために,とりあえず準最適解を得るための選好条件として用いられる.本論文は,ルールプログラミングにおけるデフォルト制約の実現方式とその応用について論じる. デフォルト制約を宣言的に記述し利用するためには,制約を能動的に機能させるための機構が必要である.本論文では,TMS的な機構を拡張することによりデフォルト制約を実現する.応用例として,AHPに基づく主観的評価の一貫性保持について論じる.主観的評価の一貫性保持にはTMS的な機構が利用できるが,TMS的な枠組みでは好みが効果的に反映されないので不十分であった.デフォルト制約を実現したルールプログラミングにより,主観的評価の一貫性は効果的に保持される.