2001 年 31 巻 2 号 p. 29-36
近代の学校教育としての商業教育は、明治8年創立の商法講習所でおこなわれた模擬実習としての「商業実践」科にはじまる。「商業実践」科の内容は、「簿記」の学習から商業活動に関するもろもろの知識・技能の習得を基礎として、その上に商取引の実習を重ねる構造であった。商業学校は、その後、第一種・第二種、甲種・乙種という種別を制度的につくり、明治期をつうじて発展した。実習科目としての「商業実践」科は、その間、商業学校学科課程の不可欠の科目として位置ついた。ここでは、なかでも、甲種商業学校における「商業実践」科の構造と性格を分析する。