社会福祉学
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知的障害者入所施設Bの地域移行プロセスにおける自己決定に影響を与える環境要因についての一考察
鈴木 良
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2005 年 46 巻 2 号 p. 65-77

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抄録

知的障害者(以下,本人と略記)の地域移行にかかわる調査研究は海外で数多くなされているが,主に適応行動や社会参加に焦点があてられており,地域移行プロセスにおける自己決定にかかわる研究は少ない.本人が安心して地域移行するためには,移行にかかわる事柄を自己決定する機会が十分に保障されなければならない.本論文は,地域移行プロセスにおける自己決定支援の方策を明らかにするために,施設Bでの質的研究に基づいて,自己決定の機会に影響を与える環境要因を分析した.その結果,(1)移行支援プログラム((1)地域生活のイメージづくり,(2)ニーズへの対応,(3)移行準備期間),(2)組織体制((1)職員の意識・知識,(2)意志決定構造),(3)親族の理解・協力,(4)社会支援体制((1)人的・物的な社会資源,(2)地域社会の意識)が地域移行プロセスにおける本人の自己決定の機会に影響を与えていることが明らかになった.

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© 2005 一般社団法人 日本社会福祉学会
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