社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
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最新号
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論文
  • 竹原 幸太
    2021 年 62 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/07/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,戦時厚生事業下で少年教護事業と少年保護事業が同質化して戦時協力を進めたとする通説的見解に対し,日中戦争勃発以降から終戦までの『児童保護』,『少年保護』誌の少年教護院,少年院職員の論考を分析し,児童・少年保護思想を類型化した.

    その結果,①戦時体制を批判し,従来の児童・少年保護思想を堅持する「自由主義的な児童・少年保護思想」,②従来の児童・少年保護思想を改め,少年教護院や少年院の戦時協力を推し進めた「日本精神主義的な児童・少年保護思想」,③戦時体制とは距離を取り,科学的処遇を求めた「科学的な児童・少年保護思想」,④少年教護院や少年院の戦時協力を論じながら,わずかに個人の視点を見いだした「偽装転向的な児童・少年保護思想」に類型化されることを明らかにした.

  • 上白木 悦子
    2021 年 62 巻 1 号 p. 14-26
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/07/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,緩和ケア・終末期医療の医療ソーシャルワーカー(MSW)の役割に対して,患者による必要性の観点から役割の内実を明らかにすることを目的とする.がん治療中の患者を対象に質問紙調査を行った(188名/回収率77.7%).このうちMSWへの相談経験のない患者群につき因子分析を行った.結果として5因子に収束し,患者に対する支援計画の策定,意思の確認ができない患者の医療方針の決定に関わる支援,患者の気持ちを医療従事者へ伝達,多職種との情報共有,患者や家族等への精神的支援と命名した.モデル適合度はGFI 0.981, AGFI 0.976であり妥当な水準と評価した.患者が必要と考える,緩和ケア・終末期医療のMSWの役割は5因子構造であった.本研究が明らかとした役割を担うことによりMSWは,人生の最期の生と死に向き合う患者と家族等への支援を行うことの重要性が示唆された.

  • 高原 稔, 高橋 英樹
    2021 年 62 巻 1 号 p. 27-37
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/07/10
    ジャーナル フリー

    本論では児童養護施設のケア効果について,主に「新しい社会的養育ビジョン」に挙げられる要因との関連,つまり,児童養護施設でのケアの規模,入所時点での児童の年齢,入所期間,入所施設の変更の有無によって,現在の入所児童の情緒と行動の問題に差が見られるかを検討した.

    調査対象は,関東甲信越地域のA県内の全児童養護施設5施設の入所児童164人とし,対象児童を担当する職員から「Child Behavior Checklist (CBCL)」に回答してもらい,その総尺度得点とこれらの要因と関連を検討した.結果,統計的に有意な関連が認められたのは,ケア規模のみであり,その他の要因によるCBCL総尺度得点への影響は確認できなかった.

    これらの結果から,児童養護施設におけるケアの効果については,社会的養育ビジョンに示される要因だけでなく,さらに広くほかの要因も含めて検討していく必要性を考察した.

  • 坪井 良史
    2021 年 62 巻 1 号 p. 38-51
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/07/10
    ジャーナル フリー

    近年,介護従事者に向けた待遇改善は介護保険制度における重要な政策の一つとして位置づけられている.しかしその一方,在宅介護における中核的サービスである訪問介護においてはその待遇改善効果が十分にもたらされていない.そこで本研究では,この要因について明らかにすることを目的とする.本研究では,訪問介護サービスの主たる提供者である非正規職に向けた待遇改善に焦点を絞る.そして,現行の主たる待遇改善策である「介護職員処遇改善加算」の算定要件や算定水準について確認するとともに,本加算が訪問介護従事者の賃金をどの程度改善するものとなっているのかについて考察を行った.考察の結果,本加算が訪問介護従事者に待遇改善効果を及ぼしていない要因として,算定要件が複雑であること,本加算の効果は正規職に向けられていること,待遇改善方法が事業所の判断に委ねられていること,時限的な措置となっていることなどが明らかとなった.

調査報告
  • 永野 叙子, 小澤 温
    2021 年 62 巻 1 号 p. 52-68
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/07/10
    ジャーナル フリー

    市民後見人登録者が受任を躊躇(不安視)する現象がみられるなか,後見実施機関を監督人とする現任の市民後見人に,質問紙調査にて後見活動で感じた思いについて自由記述を求め,定性的コーディングによって分析し,後見活動の実際と課題を明らかにした.その結果,市民後見活動の実際と課題は《市民後見活動の現状》《市民後見活動の体制整備》《市民後見事業への展望》の3つの上位カテゴリーと【被後見人等に対する意思決定支援】【市民後見活動上の困難】【市民後見人をめぐる制度課題】【活動支援に関する要望】【市民後見事業への展望】の5つのサブカテゴリーが生成された.なかでも〈後見実施機関のサポート〉〈制度の周知・啓蒙〉〈後見報酬〉〈市民後見人のライフステージを考慮した支援〉〈市民後見人のプライバシーの保護〉で支援不足や制度への課題を感じていた.これらの課題は,市民後見事業への普及・促進に重要な示唆を示している.

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