社会福祉学
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要介護高齢者のケアプロセスにおける役割 : 「ケアを受ける側」の視点からの質的データ分析
稲葉 美由紀
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2009 年 49 巻 4 号 p. 131-142

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抄録

高齢者が身体の衰えからケアを受ける立場になることは,新たな「役割」を担うことになる.そのために新たな姿勢・知識・行動などの対処能力が必要になってくる.しかし,高齢者ケアに関する社会福祉分野での研究は,要介護側の視点に着目した研究は十分に行われていない現状にある.本研究では,介護高齢者がケアを受けることに対する思い,姿勢,言動,対処についてインタビュー調査を実施し「ケアを受ける側の役割」を明らかにするものである.調査対象者は,65歳以上で週8時間以上のケアを受けている高齢者15人と家族介護者5人へのインタビューを行い,質的データ分析を行った.今回の調査では,(1)ケアを受けることへの思い,(2)介護者への支援,(3)セルフケア,(4)FC-ICサービスの把握・利用,(5)ネットワーク構築,(6)社会参加,(7)老後生活の準備・計画の7つのカテゴリーが抽出された.今後の課題として,実践的な要介護者と介護者へのエンパワーメント志向のソーシャルワークモデルの構築を行うことが必要である.

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© 2009 一般社団法人 日本社会福祉学会
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