社会福祉学
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介護支援専門員の高齢者虐待事例への対応プロセスとその促進・阻害要因に関する研究
大塚 理加菊地 和則野中 久美子高橋 龍太郎
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2011 年 51 巻 4 号 p. 104-115

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抄録

近年,在宅高齢者の養護者による虐待が増加し続けており,虐待対応の重要性は高まっている.本研究では,介護支援専門員が虐待の判断に迷う事例の分析により,虐待事例への介護支援専門員の対応プロセスを示し,その促進・阻害要因を明らかにすることで,迅速な対応を進める方策を示すことを目的とする.都内の居宅介護支援事業所600か所を無作為抽出し,調査票(自記式・無記名方式)の郵送調査を実施し,虐待の判断に迷った事例104事例(92事業所,107事例.うち非該当3事例を除く)の自由記述をグラウンデッド・セオリー・アプローチで分析した.その結果,介護支援専門員の虐待対応プロセスでは,虐待に関する情報の蓄積が重要であることと,その促進要因として情報量・源が多いこと,阻害要因として養護者の事情への過度の配慮等が示された.これらを踏まえ,エイジズムの排除への取り組み,養護者支援や虐待対応への体制整備等の必要性を論ずる.

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© 2011 一般社団法人 日本社会福祉学会
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