抄録
本研究の目的は介護保険制度下でのケアマネジメント実践モデルを明らかにすることである.本稿では特に,介護支援専門員による調整・仲介機能を特化させた給付管理業務に焦点をあてて検討を行う.調査方法は参与観察法およびインタビュー法である.分析方法は定性的(質的)コーディングである.本研究の結果,調整・仲介機能を特化させた給付管理業務の構造とプロセスが,ケアマネジメント理論((1)既存サービスの優先活用,(2)総合的アセスメントの制限,(3)収益化の促進,(4)結果重視の評価,(5)機能の焦点化)および介護保険制度((1)制度適用の遵守,(2)費用計算・予算管理の遂行,(3)業務証明の必要,(4)流動的な制度,(5)判断基準の未確立)の視点からそれぞれ明らかにされた.この結果から,介護保険制度下でのケアマネジメント実践モデルには,(1)双方向プロセスの統合化,(2)目にみえる成果の提示,(3)給付管理業務の効率化,が求められるのである.