強度行動障害の概念は日本における行政上の概念として定立してきたが,その政策についての検討は十分ではないまま,強度行動障害の制度構造は変更されてきた.そのため本論文では,強度行動障害児者に対する最初の政策である強度行動障害特別処遇事業から支援費制度までを取り上げ,強度行動障害の政策変遷をめぐるなかにおいて,強度行動障害児者とその家族に対していかなる社会福祉供給が行われたのかについて考察することを目的とした.その結果,強度行動障害のニーズの承認,サービスニーズ化に際してのニーズの全体性をとらえる視点の欠如,政策的社会的に構築・選択された施設入所,事業実施体系・供給における構造的課題,政策展開における基本的な課題が明らかとなった.