社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
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認知症共同生活介護におけるグループ回想法導入の効果
津田 理恵子
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2015 年 56 巻 2 号 p. 141-151

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抄録

認知症共同生活介護で入居生活を送っている高齢者へのグループ回想法の導入を試み,入居者8名と介護職員9名への評価を実施し,その効果を検証することを目的とした.その結果,入居者のベンダー観察記録表の評価は,すべての項目で1回目よりも9回目に得点が上昇しており,N-ADL・NMスケールの評価は導入後に多くの項目で得点が上昇していた.さらに,入居者の状況から回を重ねるごとに,生き生きした表情で他入居者との相互交流も自然に図ることができるように変化することが示された.介護職員では,グループ回想法導入後に作成,使用した評価スケールの得点が上昇している項目が多く,実際に回想法を運営したことで「できた」と意識できた項目が多いことが確認できた.さらに,入居者の笑顔が引き出せ,家族から感謝の言葉をもらい,介護職員のやりがいや成功体験につながることが示された.

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© 2015 一般社団法人 日本社会福祉学会
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