2002年以降日本において,生活福祉資金貸付版のリバースモーゲージ制度が実施されているが,その運用実態は解明されていない.本稿の目的は,このリバースモーゲージ制度の運用実態を実証的に把握し,その問題点を確認するものである.調査は,全国47都道府県の社会福祉協議会に対して郵送された自記式調査票に基づいて実施した.33都道府県の社会福祉協議会から回答を得た.本調査結果を通じて,(1)要保護世帯向けリバースモーゲージの今後の債権回収が懸念されること,(2)債権回収に際して競売を避けるために相続人の任意の協力に依存せざるをえなくなっていること,(3)借受人の同居遺族の居住福祉にネガティブな影響を与えていること,(4)社会福祉協議会と福祉事務所の連携が不十分であることが明らかになった.