社会福祉学
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調査報告
混合診療における所得と支出との相関関係――「特別の療養環境の提供」(差額病床)の全国調査――
鍋谷 哲彦
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2017 年 58 巻 1 号 p. 128-141

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抄録

わが国で認められている混合診療(保険外併用療養)の一つである「特別の療養環境の提供」(差額病床)には,医療問題として次元の異なる二つの側面がある.この2側面は一見矛盾しているようで,患者・一般者だけでなく医療関係者でも,これらを統一的に理解・把握することは容易でない.一つは,医療費ベースで差額病床は大きな問題ではないというマクロ的側面であり,もう一つは,それにもかかわらず入院医療を受ける者にとって差額病床は大きな関心事であるというミクロ的側面である.この2側面を統一的に理解・把握するキーポイントは,差額病床における所得と支出との相関関係を明らかにすることであり,所得と支出とに正の相関が認められれば,一見矛盾しているような2側面の両立を説明できる可能性がある.そこで,全国調査を実施し,最新の相関関係を明らかにした.

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© 2017 一般社団法人 日本社会福祉学会
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