2021 年 61 巻 4 号 p. 42-56
本研究の目的は,高齢患者の胃瘻造設をめぐる代理意思決定を行った家族の語りから,代理意思決定における「揺らぎ」が,患者の生活とどのように関連しながら生成,継続,変動しているかを分析し,代理意思決定における「揺らぎ」の内実を考察することである.3名の家族へインタビュー調査を行った結果,「揺らぎ」の特徴として,「揺らぎを増減させる影響因がある」,「揺らぎの増減は,現在に至るまで『患者と培ってきた関係性』を背景に,『揺らぎの影響因』と複雑に関連しながら変動している」という二つの点が示された.また,家族全員に共通し,「患者の利益」を検討して揺らぎ続けていたという点から,家族の「揺らぎ」を減少させることではなく,家族の精神的負担へ配慮しつつ,「患者と向き合いながら,その家族らしく揺らぎ続けていける」ことに重点を置くことが,代理意思決定支援に必要とされる視点であるという示唆を得ることができた.