抄録
ペースメーカー(pacemaker,以下PM),植込型除細動器(implantable cardioverter defibrillator,以下ICD)には露出,感染などの合併症がある。われわれは12名のPM • ICD露出あるいは感染症例に対して本体のみを抜去し,リード断端処理を行った。
2004年4月から2009年3月の間,本体およびリード露出 • 感染を認めた12名に対して16件の外科的治療を行った。全例で本体を抜去し,リードを短縮,断端処理し,筋体あるいは骨膜に固定した。
12名中7名は,術後1年の時点で再燃なく治癒した。血液培養陽性であった2名は1年以内に死亡した。リード断端にいたる瘻孔形成を3名に認め,2名は再手術により治癒した。リードを筋体内に固定した場合40%の治癒率に対し,骨膜固定法では83%の治癒率が得られた。
PM • ICDの露出 • 感染に対するサルベージ方法として,リード短縮と断端処理は開心術にくらべて低侵襲で安全である。リード断端の固定は可能な限り,骨膜固定を行うのがよい。