創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
原著
吸収性プレートによる眼窩底骨折治療後経過の検討
井上 真一中林 容松本 紘子貝田 亘岡本 仁片岡 和哉
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2020 年 11 巻 4 号 p. 161-168

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抄録

 序論:生体吸収性プレートを用いた眼窩底骨折治療は一般的になっているが,その至適強度保持期間について検討した文献は渉猟し得た範囲ではない。われわれは,術後の眼窩底骨片の変化に着目し検討した。
 対象・方法:2009年4月から2017年3月に当施設で吸収性プレートを用い眼窩底骨折手術を行った症例のうち,評価可能であった28例を対象とした。単純CT画像で眼窩底骨片-プレート間の縦軸距離 (FPD),同軸上の眼窩長 (POD),その合計 (TD)を経時的に計測し,u-HA+PLLA群,PGA+PLLA群で比較検討した。
 結果:全症例でFPDの短縮を認め,u-HA+PLLA群で有意に短縮した。FPDの短縮は34~37週持続した。
 考察:強度保持期間の違うプレート間でFPDの短縮に違いがみられた。十分な眼窩底骨片の改善を望むには,34~37週程度強度保持可能なプレートを使用する必要があることが示唆された。

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