骨盤底が欠損するような悪性腫瘍切除術では,体表面の形成とともに,筋や軟部組織の充填が必要である。薄筋皮弁は,腹腔鏡手術と緩衝せず,術中の体位変換が不要で,術前の放射線照射野から外れている利点がある。
目的:悪性腫瘍摘出後の骨盤底欠損に対し,short gracilis myocutaneous flap(以下:短茎薄筋皮弁)を用いた再建術の安定性と課題を調査した。
方法と対象:2017年5月から2018年10月に当科で経験した悪性腫瘍摘出後の骨盤底欠損に短茎薄筋皮弁による再建6症例。
結果:皮弁は全例で生着した。平均年齢66.3歳,男性2例,女性4例,骨盤底欠損の平均値は5.8cm,片側皮弁による再建4例,両側皮弁による再建2例であった。合併症は2例で認めた。
考察:適応症例では再建成績は安定しており,有用である。しかし,広汎な組織欠損をきたす症例では再建組織の不足をきたす可能性がある。