抄録
【目的】我々はこれまでにヒトアストロサイトおよびマウス大脳皮質より調製したアストロサイトを用いて、system L アミノ酸輸送系を介した phenylalanine や leucine の取り込みが、gabapentin (GBP) により競合的に阻害されることを昨年の第 17 回日本薬物動態学会年会にて発表した。GBP の主たる標的部位はニューロンであると考えられるが、これまで GBP のニューロンへの取り込み機構に関しては全く報告がなされていない。そこで、本発表では、マウス大脳皮質より単離した初代培養ニューロンを用いて、GBP の取り込み特性に関して検討を加えるとともに、GBP の取り込みが電位依存性 Ca2+ チャンネル (VGCC) におよぼす影響について報告する。
【方法】マウス大脳皮質由来ニューロンは、既に報告している方法に従って単離・培養した。種々の アミノ酸 transporter の発現は RT-PCR 法により評価した。細胞内への GBP の取り込み特性は、[3H]GBP を用いて、Na+ 含有・非含有取り込み buffer など種々の条件下により検討した。また、ニューロンにおける VGCC の活性は、30 mM KCl 脱分極刺激による 45Ca2+ の細胞内への流入により評価した。
【結果および考察】[3H]GBP の ニューロンへの取り込みは、Na+ 非依存的であり、また pneylalanine や leucine、BCH などによって濃度依存的に阻害を受けること、その際の Ki 値が phenylalanine や leucine の Na+ 非依存的な取り込みの Kt と comparable であったことから、GBP はニューロンにおいても system L アミノ酸輸送系を介して細胞内に取り込まれることが明らかとなった。現在、GBP の VGCC に対する阻害作用と system L アミノ酸輸送系との関係に関して詳細に検討中である。