日本薬物動態学会年会講演要旨集
第18回日本薬物動態学会年会
セッションID: 8PE-13
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2-Methoxy-4-nitroaniline投与によるラット肝P450分子種の発現変動
*相馬 晋司出川 雅邦
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キーワード: r-3, c-48, i-8
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抄録

【目的】2-methoxy-4-nitroaniline (2-MeO-4-NA) をラットに投与すると、肝のCYP1A subfamily酵素、特にCYP1A2が選択的に誘導されることを報告している。そこで、本研究は、2-MeO-4-NAのラット肝P450誘導における分子種特性をより明確にするため、CYP1A1/2をはじめ、CYP2BやCYP3A subfamily酵素など異物代謝に関わる主要P450分子種発現への影響を検討した。
【方法】2-MeO-4-NAを単回腹腔内投与した雄性ラットの肝よりtotal RNA を調製し、RT-PCR法を用いて、肝CYP1A1/2、CYP2B1/2、CYP3A1/2などのmRNA量を測定した。また、CYP1A1/2酵素の指標としてO-methylresorufin O-demethylation (O-MROD) やO-ethylresorufin O-deethylation (O-EROD) 活性を測定した。
【結果・考察】2-MeO-4-NA投与により、CYP1A2及びCYP3A1のmRNA量は有意に増加した。また、CYP1A1 mRNA量も僅かに増加したが、その他のP450分子種の発現には変動は認められなかった。なお、O-EROD (CYP1A1/2) やO-MROD (CYP1A2) 活性も2-MeO-4-NA投与により有意に増加した。以上、2-MeO-4-NAはラットの肝にCYP1Aサブファミリー酵素、特にCYP1A2を高率に誘導することが確認されるとともに、2-MeO-4-NAにはCYP3A1をも誘導する性質があることを明らかにした。これら結果を踏まえ、2-MeO-4-NAによるP450誘導機構を考察する。

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© 2003 日本薬物動態学会
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