日本薬物動態学会年会講演要旨集
第18回日本薬物動態学会年会
セッションID: 9PF-17
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Bisphenol Aのエストロゲン活性代謝物MBPの生成機構
*喜友名 周子水垂 亨舩江 良彦太田 茂吉原 新一
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キーワード: a-4, c-29, h-2, bisphenol A
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抄録

【目的】既に演者らはBisphenol A (BPA)の強力なエストロゲン活性代謝物4-Methyl-2,4-bis(p-hydroxyphenyl)pent-1-ene (MBP)がラット肝ミクロソームとサイトソールの共存下(S9)でのみ生成することを明らかにしている。そこで今回、この興味深いBPAの代謝的活性化機構について更に検討を加えた。【方法】1)代謝的活性化に関与する各因子に関する検討:ラット肝ミクロソーム中のチトクロームP450(CYP)の関与を明らかにするため、分子種選択的阻害剤やCYP抗体存在下における活性化への影響について検討した。また、サイトソール中の因子に関してはサイトソールの各硫安分画画分とミクロソームとの組合せ系による活性化の再構築を試みた。2)活性化機構に関する検討:活性化反応におけるラジカル中間体生成の可能性に関してアスコルビン酸やα-トコフェロール添加の影響について検討した。3)活性化の評価:HPLCによる活性代謝物MBPの生成及び組み換え酵母を用いたレポーター・アッセイによるエストロゲン活性測定により評価した。【結果及び考察】1)代謝的活性化に関与する因子:本活性化反応は検討したCYP阻害剤のうち、SKF 525-A,α-ナフトフラボン, ケトコナゾールにより強く抑制された。また、抗CYP 3A2抗体によってもほぼ完全に阻害された。従って、ミクロソーム中の因子としてCYP, 特にCYP3Aの関与が明らかとなった。一方、サイトソール中の因子に関しては50~70 %硫安分画画分との再構成系において最も強い活性化の再構築が認められた。2)活性化中間体としてのラジカルの生成:活性代謝物MBPの生成はラジカル・スカベンジャーのアスコルビン酸やα-トコフェロール添加により強く阻害された。従って、この活性化機構としてC-phenyl結合の解裂により生成される4-isopropenylphenolラジカルの2量体化が強く示唆された。

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© 2003 日本薬物動態学会
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