移植
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肝移植後、コロナウイルスに感染し、透析、人工呼吸器管理を要するも救命し得た症例
三浦 敬史
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 195_2

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抄録

56歳男性、B型肝硬変、肝癌、食道静脈瘤, 肝性脳症に対して2019年10月, 61歳男性ドナーからの脳死死体肝移植施行した。2020年3月31日、発熱、目眩、息ぎれ、の症状で救急外来を受診。Covid PCR検査陽性、肺炎を認めたため、酸素投与、ハイドロキシクロロキン(400mg1日2回x1日、1日1回x4日), 抗生剤開始、MMF中止、タクロリムスの目標トラフは4-7 ng/mLとし、プレドニゾン5mgは継続した。ニューモシスチス肺炎予防薬, HBV予防薬も継続。当院プロトコールに従い、検査施行。d-dimer高値であったためapixaban5mg1日2回も投与した。4月7日、呼吸状態悪化し、人工呼吸器管理とした。ステロイド、IL6阻害剤であるtocilicumab とIVIGも投与し、抗生剤はメロペネムへ変更した。Leronlimab trialにも参加した。4月9日には透析導入した。4月11日に、呼吸状態さらに悪化し、Vtach となりアミオダロン開始した。13日に、回復患者の血清を投与後、呼吸状態は改善に向かい、その後気管切開施工、呼吸リハビリを併用しつつ回復に向かい、5月7日一般病棟へ移動した。この抄録作成段階の5月10日では、コロナウイルス感染症に対する治療はまだ確率されていないが、当時有効と考えられる治療を駆使し救命できた肝移植後患者の経過を考察を踏まえて発表する。

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