移植
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生体ドナー基準の現状と課題 腎移植領域に関して
日下 守上野 豪久江口 英利伊達 洋至丸橋 繁湯沢 賢治永野 浩昭
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 202_2

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抄録

生体腎移植ドナー基準については、日本臨床腎移植学会から“生体腎移植のドナーガイドライン”が定められている。国際社会通念として確立している WHO 指導指針、国際移植学会指導指針、イスタンブール宣言、「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針、日本移植学会の倫理指針などを遵守し、生体ドナー候補者の身体的、心理的、及び社会的擁護に最大限努めなくてはならないとしている。ドナーの適応と移植後の管理を含めた指針については、国際移植学会からアムステルダムフォーラムレポートとして公表され、国際標準として定着している。今回移植学会生体ドナー安全委員会から、本邦におけるドナー管理マニュアル等の作成・使用状況に関する調査依頼を受けた。調査は2018年12月から実施し81施設から回答を得た。施設数としては過半数に満たないものの、本邦の生体腎移植総数の7割をカバーしている施設からの回答であった。術前検査マニュアルの作成は68.8%で、マニュアル使用状況は96.8%と使用頻度は高かった。検査実施項目でばらつきを認めるのは、腎シンチやレノグラム実施の有無ならびに、担癌患者のスクリーニングに関する検査の実施と内容であった。今回実施したアンケート調査の内容を中心に現状を伝えるとともに、世界的なCOVID-19の蔓延する中、今後移植医療が直面しうる未知の感染症に対する対応についても課題として触れる予定である。

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