移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
ドナーの年齢が献腎移植レシピエントの腎機能発現に及ぼす影響
芦刈 淳太郎佐々木 ひと美能勢 和宏三重野 牧子西 愼一
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 254_1

詳細
抄録

【目的】献腎移植のExpanded Criteria Donorで適応判断に難渋することも多く、ドナー年齢は、献腎移植レシピエントの予後に影響を及ぼすリスク因子の一つである。我が国のデータ解析からリスク指標となる因子を探索する中で、ドナー年齢と献腎移植レシピエントの腎機能発現に着目した。【方法】本研究はAMED研究「マージナルドナー腎移植の安全性に関する新規エビデンス創出研究」の分担研究「献腎移植ドナーのリスク基準探索」として日本臓器移植ネットワークの倫理委員会承認にてデータを入手した。2000年~2016年の腎臓移植レシピエントN=2,671(肝腎・膵腎同時移植除く)を対象とし、ドナーの年齢と腎機能発現の有無及び発現までの期間について相関関係を分析した。【結果】心停止下臓器提供において、ドナー年齢と腎機能発現の有無の有意差が認められ(p<0.05)、ドナー年齢が高齢になるにつれて腎機能発現率が低下する相関関係が認められた(決定係数R2=0.67)。さらに、脳死下臓器提供・心停止下臓器提供ともに、腎機能発現例においては、ドナー年齢が高齢になるにつれて腎機能発現までの日数(平均値及び中央値)が延長する相関関係が認められた(R2=0.62~0.95)。【考察】上記の相関関係が認められたことから、ドナー年齢によって腎機能発現までの期待値モデルを導ける可能性が示唆された。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top