移植
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肝細胞癌に対する生体肝移植-Japan基準・5-5-500基準と術前バイオマーカーの有用性について-
市田 晃彦赤松 延久真木 治文長田 梨比人三原 裕一郎河口 義邦裵 成寛石沢 武彰金子 順一有田 淳一長谷川 潔
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 288_1

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抄録

目的:当科で過去に肝細胞癌に対して生体肝移植を行った患者において、本邦での新たな移植適応基準、すなわち5-5-500基準(腫瘍径5cm以下、腫瘍数5個以下、AFP500ng/ml以下)とJapan基準(ミラノ基準もしくは5-5-500基準を満たす患者)の妥当性を検証することとした。また、肝細胞癌の再発予測における各種バイオマーカーの有用性も検証した。 方法:1998年から2019年に当科で生体肝移植を受けた153人のうち、ミラノ基準、5-5-500基準、Japan基準を満たす患者においてそれぞれ全生存率、再発率を比較した。AFP、AFP-L3分画、DCP、好中球リンパ球比、血小板リンパ球比の有用性を検証するため、ROC解析を行なった。 結果:全患者、Japan基準・5-5-500基準・ミラノ基準を満たす患者の5年再発率はそれぞれ10.9%、9.2%、7.4%、7.6%であった。従来のミラノ基準と比較し、5-5-500基準とJapan基準を満たす患者数は6.1%、11.4%多かった。5つのバイオマーカーのうち、AFPのROC曲線下面積が最も大きかった(0.852)。 結論:5-5-500基準とJapan基準はHCC患者に対する生体肝移植の適応基準として妥当と考えられる。5つのバイオマーカーのうちAFPが最も有用と考えられ、適応基準にAFPを用いることが妥当と考えられた。

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