2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 343_2
はじめに:術中胆道造影は、生体肝移植ドナー肝切除術において、適切な部位での胆管切離を行う上で、非常に重要な手技である。しかし、単純なチューブでは、造影剤がすぐに十二指腸に流出することで、鮮明な造影画像が得られないこともしばしばある。頭低位や、遠位胆管のクランプでも完全に解決できないこともある。これまでに報告されている胆道造影用バルーン付きカテーテルは最小で6Fr(外径2mm)であり、胆嚢管の細いドナーでは挿入できないことがある。目的:小児用血管造影カテーテルの中で、4Fr(外径1.4mm)のバルーンの近位側に造影用側孔が設置されたバルーン付き放射線非透過性カテーテルを用いた生体肝移植ドナー肝切除における胆道造影の有用性を報告する。方法:胆嚢摘出を施行し、胆嚢管から前述のチューブを挿入する。Cアームを用いて、チューブの先端位置を決定し、固定する。空気を用いてバルーンを拡張させると、頭低位を用いずとも容易に末梢側まで胆管の造影が可能である。結果:2例に行い、共に良好な胆道造影画像が容易に得られた。術中胆管・乳頭損傷や術後の胆管関連合併症は認めなかった。結語:バルーン付き小児用血管造影カテーテルは、生体肝移植ドナー肝切除術における胆道造影に有用である。保険適応でないこと、単純なチューブより高価なことが、問題である。