2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 369_1
【目的】EVRは基準範囲が狭くTDMが必要な薬剤である。現在の主な測定法はラテックス免疫比濁法(LA)と電気化学発光免疫測定法(ECLIA)であり、この2法の測定値には差がみられるため、測定法変更時には注意が必要である。今回我々は、臨床検体を用いてLC-MS/MS法と免疫測定法2法の比較を行なった。測定法を変更する時、どのように考えれば安全に切り替えられるのか提案したい。【方法】対象は、2019年5月に当院でEVRの検査依頼のあった患者検体99件。LAはTBA-FX8でナノピア試薬、ECLIAはcobas e801でエクルーシス試薬で測定。LC-MS/MSは九州大学病院薬剤部に測定依頼した。【結果】免疫測定法2法の相関は、ECLIA=1.1061×LA+0.9051(R=0.9892)、LC-MS/MSと免疫測定法の相関は、ECLIA=0.9303×LC-MS/MS+1.6437(R=0.9895)、LA=0.8268×LC-MS/MS+0.7831(R=0.9833)であった。【考察】基準範囲内では、ECLIAがLAより1.2~1.7ng/mL高値傾向の結果となった。しかし、すべての患者に該当しないため、測定法変更時に臨床症状と合わない場合、可能なら旧測定法で確認した方がよい。そしてそれぞれの測定法とLC-MS/MSの測定値の相関関係を考慮して投与量設定を行うことが重要と考える。