移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
当院の献腎移植症例から見たわが県の臓器提供の現状
小崎 浩一米山 智小林 仁存湯沢 賢治寺島 徹仲宮 優子
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 373_1

詳細
抄録

緒言:当院は2006年5月に腎移植プログラムを開始以来献腎移植26例を施行した。当院の献腎移植患者の平均待機年数は21.9年と全国の14年に比して7年程長く、平均透析年数は24.5年で16例(61.5%)が透析歴20年を超える長期透析患者である。患者:男性16例・女性10例、平均年齢:57.8歳、生着18例(69.2%)、再透析導入2例、primary non-function2例、死亡4例、最長生着年数:13年8ヶ月、平均S-Cr:1.44mg/dl、ドナーの種類:脳死9例・心停止17例、提供施設:県内18・県外8、長期透析に伴う廃用性膀胱のため自己尿管移植尿管吻合で7名(26.9%)が尿路再建を行った。結論:当院の献腎移植26例中24例(92.3%)が、移植後機能発現し透析離脱、社会復帰したが、4例が死亡した。このように当院の献腎移植の成績は良好でさらなるドナーの増加が望まれる。一方2019年の当県の臓器提供数は6件、献腎移植件数は7件と最近の5年間で最も多かったが、提供件数は依然として10例に届かず、現在当県の献腎移植希望者が277名であることを考えると移植の恩恵を受けられた人は僅かで、献腎移植希望者解消への道筋は未だ見えないのが現状である。その上当県の臓器提供施設は全て都心に近い県南から県央で、県全体に臓器提供に対しての意識が未だ浸透しておらず、更なる啓発活動が必要である。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top