移植
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腎移植後ステロイド離脱症例の治療成績
黒澤 明濱田 隆行関口 桃子原 宏明岩下 山連清水 泰輔小川 智也長谷川 元
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 379_1

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抄録

【目的】腎移植後のステロイド離脱症例の治療成績を検討した。【方法】2000年1月から2018年12月までに当院で施行した腎移植症例26例を対象とした。BXM、CNI、MMF、PSLの4剤で導入し、腎移植9-12ヶ月後でステロイド離脱するプロトコルとした。ステロイド離脱群(NSG)とステロイド継続群(SG)の2群に分け、患者背景、生着率、合併症について解析した。【結果】NSGは18例(69.3%)、SGは8例(30.7%)であった。ステロイド継続理由は、再発高リスク腎炎(MPGN、FSGS)3例、IgA腎症再発1例、気管支喘息1例、ステロイド離脱症候群1例、DSA陽性1例、急性拒絶反応1例であった。NSGの移植時年齢52.0±11.7歳、女性6例、献腎13例であった。SGは移植時年齢50.6±13.9歳、女性3例、献腎6例であった。ステロイド離脱症例は5年生着率100%で、腎移植後発症糖尿病は1例のみであった。【考察】ステロイド継続を要する割合は既存の報告と同様であった。免疫学的リスクが低い献腎移植が多く、ステロイド離脱症例の生着率は良好であった。合併症では腎移植後発症糖尿病が少ない傾向にあった。【結語】ステロイド離脱プロトコルが適応できる症例を厳選することで良好な生着が得られた。

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