移植
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下での肺移植後患者フォローの工夫と課題
石原 恵杉本 誠一郎石上 恵美鶴園 真理山下 里美難波 由美子富岡 泰章田中 真三好 健太郎大谷 真二山根 正修豊岡 伸一
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s102

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抄録

背景:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として,岡山大学病院(当院)では独自に指定している多発発生地域からの受診を原則見合わせている。当院の肺移植後患者(患者)の居住地は全国に渡るため,日常診療はかかりつけ医に依頼し,年1回は肺移植後検診のために当院を受診するようにしているが,COVID-19流行下では多くの患者が当院への受診が困難となった。COVID-19流行下での患者フォローの工夫と課題について検討した。

方法:当院にて2021年5 月までに施行した肺移植205例のうち,2020年5月以後に生存中の患者133名を対象に後方視的に検討を行った。

結果:当院への受診が可能だった患者は48名(36.1%)であり,85名(63.9%)の患者は受診が困難であった。受診が困難だった患者については,かかりつけ医に肺移植後の定期検診と,検診結果の当院への郵送を依頼した。当院の主治医が検診結果を確認し,レシピエント移植コーディネーターは患者への問診や指導,相談に応じ,翌年の当院での検診を予約した。検診結果に応じた薬剤変更などをかかりつけ医に依頼し,拒絶や肺炎と診断された場合にはかかりつけ医と連携し治療を行った。移植後特有の検査や治療をタイムリーに行えないなどの課題もあった。

結論: COVID-19流行下で当院への受診が困難な状況下では,より一層かかりつけ医と緊密な連携を取ることが重要であると考えられた。

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