移植
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腎移植後に抗HLA抗体が検出された患者の移植腎機能の検討
藤田 高史石田 昇平田中 章仁齋藤 尚二安田 宣成丸山 彰一加藤 真史
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s152

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抄録

2018年4月1日から抗体スクリーニング検査および抗体特異性同定検査による抗HLA抗体の測定が保険収載された。当院では2019年から腎移植外来に通院している患者に対して、年に1回の抗体スクリーニング検査の実施を開始した。今回我々はPreformed DSAを有する症例を除く、112例を対象に、抗体スクリーニング検査の結果と移植腎機能について検討した。112例中20例(17.9%)で抗HLA抗体が検出された。すべてnon-DSAであった。抗HLA抗体スクリーニング検査時の血性クレアチニン値は抗HLA抗体陰性例では平均1.27mg/dl、抗体陽性例では1.48mg/dlで有意差を認めた(p=0.022)。eGFRは抗体陰性例で46.5ml/min/1.73㎡、抗体陽性例で39.3ml/min/1.73㎡で有意差を認めた(p=0.015)。検出された抗HLA抗体は6例でClassⅠ、14例でClassⅡであったが、二群間で移植腎機能に有意差を認めなかった。non-DSAのみが検出された場合では治療介入の必要性は明確ではないが、特に注意して経過観察する必要がある。

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