移植
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戸田中央総合病院における腎移植後慢性血管型拒絶反応についての臨床病理学的検討
清水 朋一加藤 慎也木島 佑狩野 香奈堀内 俊秀飯田 祥一東間 紘尾本 和也野崎 大司乾 政志石田 英樹
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s167

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抄録

【目的】腎移植後の慢性血管型拒絶反応症例について臨床病理学的に検討した。

【方法】慢性血管型拒絶反応(CVR)をBanff分類のBanff scoreでの動脈内膜の線維性肥厚の指標であるcv と定義した。2010年1月~2020年12月で戸田中央総合病院での移植腎生検において、cv score≧1と診断されたのは27症例の34検体であり、これを対象とした。

【結果】CVRの診断は移植後平均938日(55日~7242日)にされた。拒絶反応の既往は16例(59%)にあった。Banff scoreではcv1を22検体に認め、cv2は7検体、cv3は5検体に認めた。IF/TA(ct≧1 and/or ci≧1)は24検体(71%)と高率に認め、動脈内膜炎(v≧1)の併存を12検体(35%)に認めた。細動脈硬化(ah≧1)は17検体(50%)、中位動脈の動脈硬化は33検体(97%)に認めた。

病理診断では、動脈病変のみのisolated v-lesion(IVL)が5検体(15%)、抗体関連型拒絶反応(ABMR)が10検体(29%)、細胞関連型拒絶反応(TCMR)は6検体(18%)、ABMR+TCMRが3検体(9%)、cv以外の拒絶がないものが11検体(32%)であった。

観察期間中に3例(11%)の移植腎喪失があったが、17例(63%)は移植腎機能には影響が及ばなかった。

【結論】CVRの3~4割はABMRが関与して、2~3割はTCMRが関与していると思われる。血管病変だけのIVLは1割に認められ、血管病変以外は問題がないものも3割あり、CVRと単なる動脈硬化との鑑別も難しいと思われる。またCVRが移植腎機能に影響を及ぼすのは4割程度であった。

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