移植
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当科におけるエベロリムス導入症例の検討
増田 雄一三田 篤義大野 康成清水 明窪田 晃治野竹 剛細田 清孝副島 雄二
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s169

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抄録

(はじめに)肝移植後免疫抑制療法(IS)におけるエベロリムス(Eve)の腎機能保護作用が報告され、本邦でも保険適用となった。

(目的・方法)当科における成人肝移植後におけるEve導入例について調査検討する。

(結果)Eve導入例はn=6で、成人肝移植症例中2.9%。Eve導入前ISはcalcineurin inhibitor(CNI)+mycophenolate mofetile(MMF)+steroid(n=4)、CNI+steroid(n=1)、CNI+MMF(n=1)であった。IS変更はすべて入院にて行い、Eve 目標trough濃度を3-7ng/mLとした。導入時期は移植手術後3ヶ月以内(n=1)、1年以内(n=4)、1年以降(n=1)。変更後観察期間中央値は6.6(1.3-17.1)ヶ月で、導入後ISはEve+ CNI+MMF+steroid(n=1)、Eve+ CNI +MMF(n=2)、Eve+CNI(n=1)、Eve+MMF(n=2)であった。移植前、導入、最終フォロ-アップ時のクレアチニン値(eGFR値)の平均値は1.83、2.11、1.72mg/dL(53、30、40)であり、Eve導入による重篤な合併症を認めなかった。

(結語)Eve導入は重篤な合併症なくでき、今後は腎機能障害例において効果的なEve導入のタイミングについて検討が必要であると考えられた。

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