移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
移植医療における働き方改革の推進
蔵満 薫小松 昇平木戸 正浩権 英寿福島 健司浦出 剛史宗 慎一原 麻由美後藤 直大浅利 貞毅柳本 泰明味木 徹夫外山 博近福本 巧
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s181

詳細
抄録

背景;日本臓器移植ネットワークからの報告によると、2010年度には39件であった肝臓移植数は2019年度には87件まで増加している。肝臓では病状が深刻な患者から移植が実施されるため、単一施設で移植が続くことも珍しくない。2024年4月から導入が検討されている医師の働き方改革の中で規定されている時間外労働の上限をクリアするためには、移植医療におけるタスクシフティングが必須となる。自施設における互助制度の利用状況とレシピエント移植コーディネーター(RCT)の育成について報告する。

現状;自施設では5ヶ月間で9回のドナー情報があり、うち5回摘出に赴いた。通常肝臓摘出手術には4名の医師を派遣しているが、4名派遣したのは1例のみで、その他4例では近隣の移植施設に互助を依頼した。RTCの育成目的に関連病棟では勉強会を毎年実施し、病棟師長の協力を得た上で2014年より移植外来への病棟看護師の派遣を開始した。関連学会へも複数名で参加し、2016年以降継続的にRCTの認定を得ている。

考察;時間外労働の最たる理由となる摘出手術に際した人的資源の投入は、互助制度の利用により大幅な削減が可能となるが、削減された若手医師の摘出医としての育成が今後の課題である。移植患者の予後を担保するためにはRTCの存在が不可欠であるが、自施設では関連病棟でRCTを複数名育成することにより専従看護師の業務を軽減した。いかに継続して若手のRTCを育成するかが今後の課題である。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top