移植
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東北大学における脳死臓器摘出互助化の推進と摘出手技教育プログラムの構築-肝膵腎小腸の摘出チームにおける試み-
宮澤 恒持宮城 重人戸子台 和哲柏舘 俊明藤尾 淳佐々木 健吾松村 宗幸齋藤 純健金井 哲史亀井 尚海野 倫明
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s184

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抄録

本邦の脳死臓器移植を取り巻く環境は、厳密なタイムスケジュールや長距離の移動や自施設に戻ってからの移植手術への参加など依然として厳しく、医療資源削減や過重労働の軽減といった視点から脳死臓器摘出互助制度の構築が求められてきた。国策の1つとして働き方改革が医療界にも導入され、またCOVID-19の流行により人の移動が制限されることにより、互助化のニーズはさらに高まっている。当施設では全臓器の脳死移植を行い、肝・膵・腎・小腸の4臓器を同一グループで摘出しており、これまでに計41例の摘出と11例の摘出応援を行っている。さらに先日、互助制度の下での当施設初となる他施設からの応援チームとの合同での肝臓摘出を行った。また、以前にブロック制となっている腎臓の摘出とその他の3臓器の摘出にかかる時間と費用の差について報告したが、これら時間面・費用面での恩恵は互助制度の有用性の一面を示す結果であると考えている。一方で、脳死臓器摘出手術は特殊性の非常に高い手術であることに加えて、臓器移植自体の成功の可否を握る極めて重要な意味を有しており、さらには、マージナルドナーである場合などは摘出時に臓器使用の可否の判断を迫られることもある。コロナ禍において我々が行ってきた他施設との合同での臓器摘出やご遺体を用いた独自の臓器摘出教育プログラムなどの経験を元に、臓器摘出互助制度のさらなる推進について議論したい。

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