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本邦の臓器提供数増加のための臓器提供施設連携体制構築事業の成果
加藤 櫻子纐纈 一枝宮島 由佳吉川 充史明石 優美剣持 敬
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s332

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抄録

(はじめに)当院は多くの臓器提供実績を活かし、拠点施設として4連携施設と共に、臓器提供施設連携体制構築事業(2019~2021年度)を実施したので報告する。

(目的・方法)本事業の目的は、臓器提供に関する地域における教育体制構築と臓器提供事例発生時の連携施設への支援体制構築にある。当院は、月1回の定例会議を軸に、研修会、講演会、シミュレーションなどを企画、連携施設の教育体制構築を支援し、拠点施設の提供事例発生時には、見学受け入れを行い、連携施設の事例発生時にはコーディネーターの派遣などを行った。さらに、毎月死亡患者の調査を行い、連携施設の提供への認識を高めた。

(結果・考察)本事業実施で各施設職員の臓器提供への意識が高まり、連帯感が生まれた。2019年度活動実績より、2020年度3例の脳死下臓器提供(拠点2例、連携1例)、心停止下1例(拠点)の実績を上げた。2021年4月にも連携施設から脳死下臓器提供があり、拠点施設よりコーディネーター、摘出医師を派遣、臓器提供のプロセスすべてを支援した。また愛知県の臓器提供数は2019年全国3位、2020年は第1位であった。

(まとめ)本邦の臓器提供数増加のためには地域での臓器提供推進の取り組みが必須である。本事業は、現場レベルでの連携構築が可能で、臓器提供という結果につながりやすく、今後は各地域で連携を構築することで全国の臓器提供数増加が期待される。

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