移植
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肺移植における非結核性抗酸菌症
平間 崇秋場 美紀春藤 裕樹渡邉 龍秋渡辺 有為大石 久新井川 弘道岡田 克典
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s338

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抄録

肺移植は、他に有効な治療がない進行した呼吸器疾患を有する患者において、生活の質を高めかつ生存期間を延長させることができる唯一の治療法である。気管支拡張症や慢性閉塞性肺疾患は肺移植の適応疾患であるが、これら呼吸器疾患は移植前において肺非結核性抗酸菌症(NTM)合併の危険因子である。2000年~2021年に東北大学で肺移植を施行された140名のうち、NTM肺疾患の既往のある患者は7名(5.0%)いた。一方、肺移植後は生涯にわたり免疫抑制剤を使用するため、術後に肺NTMを合併することも稀ではない。2000年-2021年に東北大学で肺移植を施行された140名のうち、移植後にNTMの検出を認めた患者は21名(15%)、NTM肺疾患を合併した患者は10名(7.1%)いた。移植患者数の増加に伴い、肺移植術前術後の肺NTMについて報告は増えてきているものの、肺移植に関連するガイドラインでどのように介入をされるべきかについては言及するに至っていない。そこで、本シンポジウムでは、最新の知見をもとに肺NTMを含め呼吸器感染症を合併する患者の肺移植登録、待機期間中の対応、また肺NTMを合併する患者の肺移植周術期管理ならびに術後の抗菌化学療法について、海外のNTMガイドライン等を踏まえて解説する。

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