移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
局所進行肝門部領域胆管癌に対する肝移植適応の検討
宮城 重人戸子台 和哲藤尾 淳柏舘 俊明宮澤 恒持佐々木 健吾松村 宗幸齋藤 純健金井 哲史亀井 尚海野 倫明
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s345

詳細
抄録

背景:切除不能局所進行胆管癌の予後は極めて不良で5年生存は10%台に留まる。米国では移植&集学的治療を行うことで成績が飛躍的に向上する報告がされた。切除不能局所進行胆道癌に日本の御家芸である生体肝移植を開始すれば欧米以上の成績を上げる可能性がある。我々は、当科の肝門部領域胆管癌切除成績と非治癒切除例の成績を生体肝移植の成績と比較し、今後の局所進行胆管癌の肝移植治療への一助としたい。

方法:2003年以降の肝門部胆管癌脈管非切除221例、動脈合併切除再建21例を対象とし合併症発生率及び成績を比較検討した。更に動脈合併切除例のうち病理学的動脈非浸潤症例と浸潤症例の検討や、胆管断端陰性例R0と陽性例>R1の検討も行い、肝移植成績212例と比較した。

結果:脈管非切除例:動脈合併切除例の5年生存率は39.5%:46.3%であり、出血量、手術時間、CD3a以上合併症発生率を含め両群間に有意差を認めず動脈合併切除が安全に施行できていることが確認できた。その上で病理学的動脈非浸潤例と浸潤例を比較すると5年生存率は62.5%:33.6%と動脈浸潤例で有意に低値であった(P=0.044)。R0群と>R1群の2年生存率は90.0%:24.0%であった。一方2003年以降の成人生体肝移植の5年生存率は79.0%であった。

結語:局所進行胆道癌動脈浸潤例や非治癒切除例では生存率が極端に低いことが分かった。切除不能局所進行例に対する肝移植で全肝を摘出すれば、生存率が改善する可能性が示唆された。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top