移植
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当院における心臓移植非実施施設との連携に関する取り組み
野本 美智留服部 英敏菊池 規子市原 有起斎藤 聡新浪 博士萩原 誠久布田 伸一
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s425

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抄録

心臓移植待機患者の多くは植込み型補助人工心臓(LVAD)を装着し待機期間を過ごす。LVAD装着の緊急度や他臓器障害、右室機能不全の合併はLVAD植込み後の予後と関連し、INTERMACS Profile 3以上での植込みが望ましい。そのため、紹介施設とLVAD実施施設との間で、心臓移植の可能性がある患者に関しては早期から治療の連携が必要であり、また患者への疾病教育も重要となる。当院では、LAVD植込み後に紹介施設との合同カンファランスで経過の共有をはかり、共通認識を高める試みを行っている。また、患者に対してはwebシステムを用いた多職種による患者教育プログラムにより疾病教育の充実も目指している。更に、心臓移植後は拒絶反応や感染症管理だけでなく、悪性腫瘍や腎障害、移植心冠動脈病変等の遠隔期合併症への内科的管理も必要となる。しかし、本邦での心臓移植施設は小児心臓移植実施施設も含めて11施設と限られている。そのため、心臓移植後患者は遠隔病院への通院を余儀なくされており、移植後管理が可能なTransplant physicianの育成は急務である。当院では、移植後管理においても、緊急対応を要する場合には患者状態を共有し心臓移植非実施施設と共同で治療にあたっている。本セッションでは心臓移植前後における、心臓移植非実施施設との連携に関して当院での取り組みを概説し、今後の課題について検討を行う。

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