移植
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Status/MELDスコア制度導入における脳死肝臓移植レシピエント選定の現状と課題
芦刈 淳太郎大宮 かおり林 昇甫
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s492

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抄録

肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準は、2019年5月15日に予測余命による点数方式の医学的緊急性からStatus及びMELDスコアによる医学的緊急性の順位付けに改正され、2年以上が経過したが、この間152件の脳死肝移植が実施された(肝腎同時移植含む、2021年6月末現在)。

以前のレシピエント検索システムでは、各移植施設から移植希望登録者の直接登録やデータ更新ができなかったため、MELDスコアによる順位付けの仕組みを導入することは困難であったが、レシピエント検索システムE-VASにより各移植施設がオンライン化され、リアルタイムでのデータを反映されるようになったため、MELDスコア導入が可能となり、迅速化が図られた。

また、以前は5段階の医学的緊急性の点数区分であり区分ごとの待機者が多かったため、待機日数の長さが臓器配分の決定に多大な影響を及ぼしていた。Status及びMELDスコアを用いることによって医学的緊急性が細分化され、待機期間の長さが臓器配分に与える影響が少なくなった。この改正により、脳死肝移植適応評価委員会による評価方式から自動的に計算されるMELDスコア方式となり負担軽減が図られた。

本発表では、最新のデータに基づき、選択基準改正前533件と改正後における肝臓移植者及移植希望登録者の医学的緊急性、MELDスコア分布、原疾患、年齢、待機期間などのデータを比較検証し、現状と課題について述べる。

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