2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s494
【はじめに】本邦の脳死肝移植のallocation systemがMELD制に変わって、より重症患者にグラフトが配分されるようになったが、timelyにドナーが出現しなければ移植のタイミングを逃すことになる。当科では生体ドナー候補がいる場合は生体肝移植の準備をしつつ脳死ドナーの出現を待ち、出現しなければ生体に切り替えているが、生体ドナー候補がおらず移植待機中に亡くなる患者は多い。
【対象と方法】2014年7月~2021年4月までに当科で脳死登録を行った33症例を対象に、登録時MELD、待機期間、転帰などを検討した。MELD制導入前の登録患者が28例、MELD制導入後が5例であった。
【結果】33症例の内訳はStatus I 3例、Status II 30例、生体ドナー候補者がいたのは9例であった。Status Iの2例で脳死肝移植、1例で生体肝移植を施行した。Status II症例の登録時MELD(中央値)は18(11~36)、待機期間(中央値)は188日(2~1382日)、2例で脳死肝移植、3例で生体肝移植を施行、18例が待機中に死亡、2例が肝細胞癌進行により取消、ウィルソン病の1例が肝機能改善にて取消、残る4例が待機中である。登録時MELDが25以上の症例で移植に至らなかった6例は25日(中央値)で死亡していた。
【結語】MELD制になっても待機中に死亡する症例は多く、生体のオプションは必要であると思われた。