移植
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ミトコンドリア病による末期腎不全に対し生体腎移植を施行された4例の検討
縄野 貴明阿部 尚美竹原 知宏藤田 耕太朗横川 ゆきの安次富 咲子渡部 紗由美工藤 光介市川 一誠渡辺 昌文西田 隼人福原 宏樹
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s512

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抄録

【背景】ミトコンドリア病は、ミトコンドリアの機能不全に起因する全身疾患の総称である。今回、ミトコンドリア病による末期腎不全に対し生体腎移植を施行された4例を経験したため報告する。【症例】症例1:60歳男性。50歳時に夫婦間生体腎移植を施行。感音性難聴、脊髄小脳変性症、糖尿病あり。術後4年時にミトコンドリア病の診断となる。症例2:36歳男性。感音性難聴あり。15歳時にミトコンドリア病の診断となる。34歳時に父子間生体腎移植を施行。36歳時に脳卒中様発作による呼吸不全にて死亡した。症例3:31歳女性。27歳時に腎障害と感音性難聴を契機にミトコンドリア病の診断となる。28歳時に父子間生体腎移植を施行。移植直後より移植後糖尿病となる。症例4:36歳女性。28歳時に腎障害、感音性難聴を契機にミトコンドリア病の診断となる。30歳時に他院にてミトコンドリア遺伝子異常をもつ母をドナーとし生体腎移植を施行された。35歳時に移植腎にミトコンドリア腎症を再度発症し、移植腎機能を喪失した。【結語】中枢神経疾患、難聴、糖尿病が併存する腎障害では、特にミトコンドリア病を原疾患として考える。また移植後も合併症の悪化に留意する必要がある。ミトコンドリア遺伝子異常をもつドナーからの移植は避けるべきである。

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