移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
COVID-19流行下での腎移植患者における下腿周囲長の変化とサルコペニアの現状
佐々木 ひと美日下 守河合 昭浩竹中 政史市野 学高原 健住友 誠伊藤 泰平剣持 敬
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s266_3

詳細
抄録

COVID-19感染流行期間での腎移植患者のサルコペニアの状況につき調査した。当院通院中の腎移植患者のうち、2020年から2年連続でSARC-Calfスクリーニングを行い、サルコペニア診断が可能であった91名(男性55名、女性36名)に対し、SARC-F各スコア、下腿周囲長と計測基準値との差、サルコペニア診断数、性差による影響につき調査した。結果:91名の開始時平均年齢は56.5歳で移植後経過期間は平均13.9年であった。SARC-Fの各項目での有意差は認めなかったが、下腿周囲長は2020年平均値33.4cm、2021年平均値32.9cmと低下していた(p=0.01、student’s t検定)。また日本人の計測基準値(JARD2001)での年齢別下腿周囲長中央値との差でも2020年平均-1.10cm、2021年-1.49cmと2021年での基準値との差が大きい傾向であった(p=0.04、student’s t検定)。SARC-Calf(SARC-Fおよび下腿周囲長計測による評価)でサルコペニアを疑う症例は両年共に19例であり、それぞれの診断数も12例で差を認めなかった。性差別検討ではいずれも男性でSARC-Calf平均値の上昇、下腿周囲長の基準値との開大を認めたが、女性では変化はなかった。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top