2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s273_3
【背景】救急搬送される患者家族は、時間的猶予のない経過の中で心理的・社会的に「患者の病状」を認識し、「患者の最期」の過ごし方を代理意思決定することなり、特に終末期の情報提供は、家族の心情に留意しながら丁寧な対応が求められる。2022年4月より入院重症患者対応メディエーターを導入し、救急・集中治療領域での終末期家族支援を実施している。
【目的】入院重症患者対応メディエーター導入前後の終末期家族支援の実際とチームによるケアプロセスを振り返る。
【方法】救命救急センターに搬送され、脳死前提条件を満たした患者の家族支援を対象とした後方的観察研究。入院重症患者対応メディエーター導入前後での、治療方針決定までの経過や終末期の過ごし方に関する移植医療の情報提供のタイミングや確認までの支援、終末期の過ごし方へのチーム連携を比較する。
【結果】入院重症患者対応メディエーター導入前後で治療方針決定までの日数に変化はないものの、終末期の情報提供のタイミングおよび確認はチーム連携により早期化した。また、臓器提供の有無に関わらず多職種カンファレンスの実施や継続的な家族支援が強化された。
【考察】終末期において家族が主体的に過ごし方を考える時間を持つことは、患者・家族の意思決定において非常に重要であると考えられ、入院重症患者対応メディエーターの導入は、救急・集中治療領域において有効な家族支援強化の方策である。