移植
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腎移植後症例に対するダプロデュスタット12か月投与における有効性と安全性
村上 礼一日村 美玲奈川 大輝金城 育代藤田 雄島田 美智子富田 泰史畠山 真吾米山 高弘橋本 安弘大山 力
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s289_1

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抄録

<緒言>

2019年より腎性貧血治療薬として従来のESA製剤とは異なる作用機序を有するHIF-PH阻害薬が使用可能となった。今回、同薬を導入した腎移植後の症例について12か月を追跡し報告する。

<対象と方法>

当施設外来通院中の腎移植後症例のうち、ESA製剤からの切り替えもしくは新規にダプロデュスタットを導入された症例を対象とし、導入前後の各検査値について比較した。対象症例は18例で、男性9例、女性9例、導入時の平均年齢は44.2±15.1歳、移植後月数は109±69か月、移植腎機能はsCr. 2.12±1.16mg/dLであり、18例中7例はESA製剤にて加療中であった。

<結果>

いずれの症例も大きな合併症は認めずに切り替えもしくは導入が可能であり、ヘモグロビン値は導入後6か月で10.5±0.07g/dLから12.2±0.14g/dLと有意差をもって改善させることができた。鉄利用と脂質代謝においても改善傾向が認められた。

<考察>

腎移植後症例においても、HIF-PH阻害薬を安全に導入しつつ有効な貧血治療の継続が可能であった。同薬には鉄の有効利用と脂質に対する改善効果が諸家から報告があり、導入後12か月までの経過を報告する。腎移植患者における腎性貧血治療の新たな展開が期待される。

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