移植
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腎移植におけるextended release tacrolimus+mTOR inhibitorによるレジメン
平光 高久二村 健太岡田 学後藤 憲彦一森 敏弘鳴海 俊治渡井 至彦
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s292_1

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抄録

はじめに

これまでにtacrolimus+mTOR inhibitor(EVR)のについて安全性と有効性は示されてきた。最近では、extended release tacrolimus (TACER)が使用されることが多くなってきているが、TACER+EVRについての報告はほとんど認められていない。

方法

2018年4月から2020年12月までの生体腎移植のうち、TACER+EVR(EVR group)、TACER+ mycophenolate mofetil (MMF)(MMF group)で導入された患者160例(EVR group 83例、MMF group 77例)について、eGFR、de novo DSA、rejection、graft failure、recipient survival、腎移植後1ヶ月、1年後におけるプロトコール腎生検におけるCNI毒性についてinverse probability of treatment weighting法を用いて検討した。TACERの投与量はAUC0-24hrに基づいて、腎移植後3ヶ月まではEVR group 200ng/ml・hr、MMF group  250 ng/ml・hr、3ヶ月以降は、EVR group 150ng/ml・hr、MMF group  200 ng/ml・hrとした。MMFはAUC0-12hrで 40-80μg/ml・hr、EVRは腎移植後3ヶ月まではトラフ値  5-8 ng/ml・hr、3ヶ月以降は3-5 ng/ml・hrで管理した。

結果

eGFR、de novo DSA、rejection、graft failure、recipient survivalでは、両群で有意差を認めなかった。しかし、腎移植後1ヶ月、1年後におけるプロトコール腎生検におけるCNI毒性をEVR groupで有意に多く認めた(P=0.059、P=0.006)。

結語

TACER+EVRはTACER+MMFとほぼ同等の結果を得ることが可能であったが、TACER+EVRでCNI毒性を多く認めたため、今後適切な血中濃度について検討が必要と考えられた。

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