2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s295_1
目的:膵移植後の移植十二指腸関連合併症症例に関する分析を行い、グラフト予後改善のための課題について考える。方法:東京女子医大腎臓外科で施行した膵移植のうち移植十二指腸合併症を発症した症例について非合併例と比較検討した。結果:全71例(膵腎同時移植(SPK)62例、腎移植後膵移植(PAK)9例)中、11例に12回(16.9%)の十二指腸関連合併症を発症した。全例SPK症例(膀胱ドレナージ(BD) 6例、腸管ドレナージ(ED) 5例)で、その内訳は縫合不全(吻合部または十二指腸断端)8例、吻合部出血2例、(縫合不全、のちに吻合部出血)1例であった。吻合部出血合併例はすべてBD症例である。移植膵摘出となった4例(BD1例、ED3例)については全例吻合部縫合不全例であった。非合併例との比較において出血症例ではドナー年齢が高かったこと以外差異は認めなかったのに対し、縫合不全症例ではこれに加えレシピエント術前透析期間や周術期血清アミラーゼ値およびCRPなどでも明らかな違いがみられた。さらに膵摘出の4例では他と比べ高齢のレシピエントであった。結語:合併症が重症化する背景としてレシピエント背景の他、グラフトの虚血/再灌流障害がその一因として大きく影響することが示唆された。