2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s299_3
はじめに
2010年7月に改正臓器移植法が施行された以降の当院での献腎移植について脳死下提供(DBD)と心停止下提供(DCD)の比較を行った。
対象
2010年7月以降30例の献腎移植を施行し14例が脳死下提供であった。レシピエントは7例の20歳未満を含み、ドナーの未成年症例は1例のみであった。
結果
レシピエント年齢、移植前透析期間、ドナー入院時Creについては両群間で差を認めなかったが、ドナー年齢、ドナー摘出前Creでは有意にDCD群が高く、総阻血時間はDCD群が有意に長かった。移植直後に透析を行わなかったimmediate function症例はDBD群で8例(57%)、DCD群で1例(6%)であった。 DBD群では平均観察期間52.8カ月で全例生着、生存している一方、DCD群では平均観察期間82.9カ月で2例のPNF、2例のDWFG、2例の腎廃絶を認めた。腎廃絶例は2例とも二次移植で、1例は慢性抗体関連拒絶、1例はIgA腎症の再発が原因であった。
考察
諸家の報告通り、献腎移植においてDBDはDCDに比べ良好な成績であった。しかしながら状態の悪いDCDでも適切なドナーおよびレシピエントの選択によりDBDに匹敵する成績が得られるとも考えられる。当院の過去の症例や文献的考察を踏まえ発表させていただく。