移植
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献腎移植登録外来のあり方について
長坂 隆治大塚 聡樹石山 宏平小林 孝彰
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s300_2

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抄録

2017年より献腎移植登録患者の年1回通院も義務づけられ、献腎候補に挙がった際には、より生体腎移植例に近い術前管理ができるケースが多くなってきた。またレシピエント検索システム (E-VAS) の導入に伴い、献腎移植登録患者のステータスもより明確となった。当院は地域中核病院であり、献腎登録患者の脳血管系・心血管系・悪性疾患に対する治療で当院に入院することが多く、透析センターにおいて登録患者の病状経過を追うこともできている。入院中に患者本人と相談して待機状態を inactive とすることに同意を得たり、登録抹消を勧めるなどして、アクティブな献腎登録患者数は100名前後にとどまっている(2019年95名、2020年89名、2022年96名)。ここ1年では登録例よりも本人希望や死亡による抹消例の方が多いようにみえる。これまでの当院での献腎登録患者289例中、副甲状腺手術 (PTx) を施行した症例が37例(腎移植後PTx 6例、腎移植前PTx 5例)あった。年1回の定期通院でPTxを勧めた症例が多かったが、calcimimetics の登場で正Ca血症を維持できることもあり、未だに腎移植前PTxの手術同意を得るのに容易でない。この外来で発見した悪性疾患は自己腎癌 7例、肝癌 1例であり、長らくの受診拒否例1例を除いては早期癌で根治的治療が可能であった。腹部CTなど画像検査の経時的フォローによる成果と評価している。献腎移植登録外来の今後のあり方について考察する。

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