2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s320_1
健康保険収載後に当科で施行した、高用量IVIG使用脱感作療法の初期経験を報告する。
症例1:50代女性。ドナーは夫(血液型不一致)。妊娠歴1回。CDCXM陰性、FCXM T陰性、B陽性(Ratio 5.78)、DSA陽性(DR53、MFI 12487)。術前4週間前からTAC、MMF、MPを開始し、リツキシマブの投与、DFPP3回、PEX1回を施行。IVIGは術前5日前から行い、計200g(4g/kg)投与した。血圧上昇、頭痛、嘔吐を認めたが、対症療法で改善した。生体腎移植後速やかに初尿が得られ、拒絶反応の所見を認めず、移植後4か月の時点でCre 1.5mg/dl前後で推移している。
症例2:60代女性。ドナーは夫(血液型一致)。妊娠歴2回。適合性検査にてCDCXM陰性、FCXM T陽性(Ratio 2.29)、B陽性(Ratio 2.24)。DSA陰性であったが、妊娠歴もあり症例1と同様なスケジュールで術前脱感作を行った。IVIG 4日目から血圧上昇、頭痛を認めたが対症療法で改善した。生体腎移植後経過は良好で、拒絶反応の所見を認めず、移植後2か月の時点で、Cre 1.1 mg/dl前後で推移している。
当科において、高用量IVIGを用いた術前脱感作療法は概ね問題なく導入することができ、短期成績も良好であった。