移植
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脂肪由来幹細胞(ADSC)を付加は、膵島細胞シートの移植効率を改善する
佐藤 直哉見城 明西間木 淳小船戸 康英石亀 輝英渡邊 淳一郎武藤 亮月田 茂之芳賀 淳一郎木村 隆丸橋 繁
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s348_1

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抄録

【目的】我々はこれまでに温度応答性培養皿を用いて作成した膵島細胞シートを糖尿病Scidマウスの皮下移植に移植し、血糖正常化に成功した。しかし、糖尿病マウスの血糖正常化に必要な膵島細胞数は10×106個と多く、移植効率を改善した改良型細胞シートの開発が必要であった。そこで、細胞保護作用を有する脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC: Adipose-derived Mesencymal Stem Cells)を支持細胞として用いた積層化膵島シートを作成し、その移植効率の改善について検討した。

【方法】ADSCと混合する膵島細胞数を条件分けし(①2.0×106個、②1.0×106個、③0.5×106個)3種類の細胞シートを作成し、それぞれを移植した糖尿病マウスをA群、B群、C群(それぞれn=4)と定義した。糖尿病マウスの皮下移植後14日目および35日目の血糖正常化をエンドポイントとして、3群を比較した。

【結果】糖尿病マウスにADSC-膵島細胞シートを皮下移植した後、14日目に血糖正常化を得た個体数は、A群、B群、C群で、それぞれ4匹(達成率100%)、2匹(達成率50%)、1匹(25%)であった。また、移植後35日の血糖正常化は、それぞれ4匹(100%)、4匹(100%)、1匹(25%)であった。

【結語】

糖尿病マウスの血糖正常化を十分に達成する必要最小膵島細胞数は、2.0×106個であることが示された。ADSC付加により必要膵島細胞数は5分の1に減少させることが可能であり、膵島移植の効率化を改善させる技術として注目される。

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